噛み合わせがもたらす影響とは

筋肉が減ったり、歯が擦り減ったり、私たちの噛み合わせは少しずつ変化していきます。それが悪い方向に進むと、噛み合わせに異常が生じます。なかには、歯科医院で補綴治療を行った結果、トラブルが起こったケースも報告されています。 噛み合わせの異常は、顎の関節部から頭の横部分につながっている側頭筋にも悪影響を及ぼします。側頭筋が常に過緊張状態となることで、血流が悪化し、頭痛や肩こりの原因に繋がってしまうのです。噛み合わせの治療は患者様のお口の状態、生活習慣等によって異なります。それぞれの状況に応じて、適切な治療方法を提案いたしますので「噛み合わせが少し変かもしれない」とお気づきになった場合は早めにご相談ください。
噛み合わせを悪くする習慣
- 頬杖
- うつぶせ寝
- 片側でばかり噛んでいる
- 奥歯で噛めない
- 歯を抜いたまま放置している
- 口が長時間開いている
噛み合わせが悪いと起こる症状
顎関節症
顎関節症は「関節」や「筋肉」、もしくはその両方に不調が生じた場合に発症します。具体的な症状としては、「口を開けると音が鳴る」「朝起きると顎が痛む」「以前に比べて口を開けられない」などです。不調の生じる原因は多種多様なので、丁寧に検査・診断を行っていく必要があります。
肩こり・片頭痛
肩こりや片頭痛の生じる原因は様々ですが、その一つの要因として噛み合わせが関わっていることがわかってきました。噛み合わせが悪くなると、体のバランスが歪みます。結果的に一部の筋肉に余計に力が加わって、血流が悪くなり、肩こりや片頭痛に繋がってしまうのです。
体調不良
「気分が落ち着かない」「集中できない」「最近イライラするようになった」などの原因がわからない不調を「不定愁訴」と呼びます。このような不定愁訴が「歯の噛み合わせ」と結びついていることもあるので、薬やサプリメントなどで症状がなかなか改善しない場合は、ぜひご相談ください。
手足のしびれ
噛み合わせに問題が生じると、頸椎が彎曲し、血管や神経が圧迫されることで手足にしびれが生じるケースがあります。ほとんどの方が手足のしびれが起こると、整形外科や脳神経外科、整骨院などに通われると思います。しかし、症状が改善しない場合は、一度歯科医院の来院を検討してみてください。
子どもの発育
噛み合わせが悪いと、一部分の筋肉のみを使うため顎の成長がアンバランスになります。すると、顔つきが悪くなったり、「出っ歯」や「すきっ歯」などの不正咬合に繋がったりします。乳幼児期の噛み合わせの悪さは、日常的な悪癖が原因のことも多いのが特徴です。当院では、そのような要因を取り除き、噛み合わせが正しく整うようサポートいたします。
耳の症状
耳が詰まっている、耳鳴りがする、耳が聞こえくいなどの不快な症状。これらは顔面部の過緊張が原因のケースが多く、噛み合わせを整えることで改善が見られる場合があります。
むし歯・歯周病
噛み合わせのバランスが崩れて、歪みが生じていると、噛む動作を繰り返すたびに一部の歯に負担が集中します。結果的に歯や歯槽骨が動揺し、細菌が侵入しやすくなり、むし歯や歯周病の進行を促してしまうのです。歯周病・むし歯を根本的に予防するためには、噛み合わせの改善も必要不可欠と言えます。
不正咬合の種類
出っ歯(上顎前突)

通常よりも前歯が前に出ている状態です。見た目だけの問題ではなく、口が閉じにくいことから口呼吸のリスクもあります。
受け口(下顎前突)

下の歯が上の歯よりも前に被さっている状態です。歯の問題だけではなく、骨格も関係してくることがあります。
乱杭歯 八重歯(叢生)

歯が重なり合って生えている状態です。歯並びがでこぼこしているので歯磨きがしにくく、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
すきっ歯(正中離開)

歯と歯の間に隙間が生じている状態です。小児期なら問題のないことも多いですが、成人になると発音が不明瞭になるなどのリスクがあります。
理想の歯並び・噛み合わせの目安

歯の大きさや形、顎の骨格などによる個人差はありますが、以下が正常咬合の目安となります。
- 歯並びのでこぼこや隙間、歯の捻れなどがない
- 上下の歯列の位置関係が適切なこと(前後、左右、深さ)
- 上顎の歯列は適度に下顎の外側にかぶさっていること
- 上下の正中がだいたい一致していること
- 上下の奥歯が「山」と「谷」の関係でかみ合っていること
- 顎の動きに、邪魔になる歯がないこと
- 顔とのバランスが良いこと